映画監督・脚本家に注目!

2019年夏映画 荒井晴彦が描く「火口のふたり」の世界観が凄い!

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2019年夏映画 荒井晴彦が描く「火口のふたり」の世界観が凄い!

『火口のふたり』の原作は白石一文さん。本作は2011年に起きた東日本大震災をきっかけに白石が生きることの意味を見つめ直して書き上げた作品であり、数年ぶりに出会ったいとこ同士の男女が互いに抑えきれない感情の深みに堕ちていく危険な関係性を描いている。その「火口のふたり」を荒井晴彦監督が脚本・監督をつとめ公開中です。主演の俳優・柄本佑さんと女優・瀧内公美さんコメントや映画をみた感想を読むと観に行かなくてはと思ってしまう作品ですね。

柄本佑&瀧内公美、体が合うんだから仕方ない 「火口のふたり」の関係性語る

大人んサー2019.08.20配信記事より引用

俳優・柄本佑さんと女優・瀧内公美さんが共演する映画「火口のふたり」。同作は、離婚や会社の倒産ですべてを失った永原賢治(柄本さん)は、旧知の女性・佐藤直子(瀧内さん)の結婚式に出席するため秋田県に帰郷します。再会した賢治と直子は「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」という直子の提案でかつてのように体を重ね合い…直木賞作家・白石一文さんの小説「火口のふたり」の映画化です。

オトナンサー編集部では、柄本さん、瀧内さんにインタビューを実施。賢治と直子の関係性や荒井晴彦監督との仕事、お互いの印象などを聞きました。

瀧内「30歳前に挑戦したい」

Q.賢治と直子の関係性をどのように感じましたか。

柄本さん(以下敬称略)「セリフで『やっちゃいけないなんじゃないか』『近親相姦(きんしんそうかん)みたいでやだ』とありますが、好きになったものは仕方ないと思います。社会とかそんなもん関係ないよと単純に思いました。体、肌が合うと実感しているので、それは誰も否定できないことだと思います」

瀧内さん(同)「佑さんの言う通り、体が合うと感じてしまったら、そうなるのも仕方ないかなと思いました。でも、直子を演じるに当たって、賢ちゃんが好きだからという気持ちを一番大切にしていました。二人とも社会になじめない、直子もなじんでいるふりをしているだけで、本質的にはなじめないんだろうなと思っていました」

Q.柄本さんは荒井監督とのお仕事を熱望されていたとのことですが、いかがでしたか。

柄本「僕のことを5歳から知っている方で、荒井さんの本や映画が好きなので、いざ本人の前で芝居をすることになり緊張しました。知られているからこその緊張と安心とがないまぜになる不思議な気持ちでした。待ち時間は安心していましたが、撮影中は見られていると感じて緊張しました」

Q.瀧内さんは「脱ぐのは嫌です」と別のインタビューでおっしゃっていましたが、今回も挑戦だったと思います。この役をやりたかった理由は。

瀧内「二人芝居だったということ、お相手が佑さんだったこと、荒井さんのセリフを口にしたかったことです。普段は口数が少なくて心の内で感じている役が多かったので、たくさん会話をする役に、30歳になる前に挑戦したいと思っていました」

Q.セリフの掛け合いでは、どのようなことを意識されましたか。

瀧内「本読みの時に、荒井さんに『速い速い』と言われたので、ゆっくり丁寧にしゃべることを意識しました。あとは説明せりふが多いので、どうしゃべるかを常に考えていましたね」

柄本「その時の流れや空気に身を任せるようにしていました。身を任せすぎて極端な方向にいきすぎたら、荒井さんが止めてくれました。一回一回の撮影が長く、その中で何度もテークを重ねてという撮影方法ではなかったので、いろいろ反応して方向を決めていく、前回のことは忘れて毎回ゼロから始めようという感じでした」

Q.リフレッシュ方法は。

柄本「最近はボクシングです。3カ月前からボクシングを始めました。この1年で10キロ痩せました。ある日、家の階段を上った時に足腰に来て、体重と一緒に筋肉も落ちてしまいました。フィジカルを鍛えようと思って、ただ器具で鍛えたいとは思わず、ボクシングにしようと思いました」

瀧内「朝、コーヒーをドリップすること、銭湯に行くことです。昔ながらの銭湯が好きで、熱くてスッキリするんですよね。あとはレコードで音楽を聴くことですかね」

映画「火口のふたり」は8月23日から全国公開。

『火口のふたり』と『天気の子』に共通点!? 人新世を生きる我々に突き付けられたリアル

RealSound 2019.08.28配信記事より引用

この映画を観終えたあと、正直なところ、少し困惑したことを覚えている。や、映画としては、とても素晴らしかった。とりわけ、ほぼ“出ずっぱり”と言ってもいい主演の2人の演技には、非常に心打たれるものがあった。その“あらすじ”はこうだ。兄妹同然に育った幼なじみの女・直子の結婚式に出席するため、久しぶりに故郷へ帰ってきた男・賢治。彼女と彼のあいだには、他の誰も知らない、ある“過去”があった。結婚式を間近に控えた女は男に言う。「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」。どうもこのご時世、この手の話に少々過敏になっているところがあるのかもしれない。ともすれば、“男の幻想”とも取られかねないそのような物語を、若い役者の身体を使ってこのような形で表現していいものなのか。それが自分の“困惑”の正体だった。しかし、結論から先に言うならば、別に良いのだ。「映画は学校の教科書ではない」のだから。

2019年夏映画 荒井晴彦が描く「火口のふたり」の世界観が凄い!

58年生まれの直木賞作家・白石一文の小説を、47年生まれの脚本家・荒井晴彦が脚本化し、自ら監督を務めた映画『火口のふたり』。登場人物は、先ほど書いたように、ほぼ2人だけ。しかも、その大半のシーンが、いわゆる“濡れ場”と“食事”のシーン”のみという徹底したスタイルで描き出された本作は、作り手たちの言葉を借りるならば、“身体の言い分”というものが、ひとつ大きなテーマとなっている。実際、映画の公式サイトに掲載されている著者・白石との対談のなかで、監督・荒井は、この小説に惹かれた理由を、次のように語っている。「日本が終ってしまいそうな時に、『身体の言い分』に身をゆだねる二人がアナーキーでいいなと思いました。世間的な価値観や倫理じゃなくて、身体がしたい事をさせてあげようという。“自然災害=超自然”に対して、“人間の自然”で対峙しようという事ですよね」。

かくして、大まかなプロットは原作そのままに──しかし、その舞台となる土地を九州から東北は秋田に変更し、それによって原作でも言及される“東日本大震災”との“心理的な距離感”に、新たな意味と解釈を加えながら描き出される本作。否、もうひとつ、重要な変更点があった。原作では、賢治41歳、直子36歳と設定されていたものを、柄本佑と瀧内公美という、それよりもひとまわり若い男女が演じることによって、その物語の雰囲気が、大きく変化しているのだ。端的に言って、原作にはなかった“明るさ”と、まるで青春映画のような“瑞々しさ”が、その2人によってもたらされているのだ。映画作品はもとより、朝ドラ『なつぞら』から大河ドラマ『いだてん』の出演に至るまで、近年活躍目覚ましい32歳の俳優・柄本佑と、主演映画『彼女の人生は間違いじゃない』(2017年)で鮮烈な印象を残して以降、最近ではテレビドラマでもよく目にするようになった29歳の女優・瀧内公美。いずれも近年、これまで以上に多くの人々から注目を受けるようになった、まさしく“勢いのある”役者である。この2人の文字通り“身体を張った”芝居が、本当に素晴らしい。

2019年夏映画 荒井晴彦が描く「火口のふたり」の世界観が凄い!

結婚生活が破綻し、現在は失業中である男と、結婚を間近に控えた女が、自らの“身体の言い分”に身を委ねながら過ごす愛欲の日々。ともすれば、“破滅的”であるようにも思える彼/彼女の日々は、大方の予想とは異なり、いっさい他者が介在することのないまま、思いもよらない結末を迎えるのだった。直接的ではないにせよ、2人の行動に少なからず影響を及ぼしているであろう東日本大震災の記憶に加え、さらなる“自然災害”の到来が、映画の終盤で暗示されるのだ。ただでさえ不確かな未来が、よりいっそう見えないものとなったとき、賢治と直子が選び取った行動とは……。その結末については、敢えてここでは触れないけれど、この映画を観終えたあと、しばらく経ってから、唐突に思い起こしたのは、自分でもかなり意外ではあったけれど、この夏大ヒットを記録しているあのアニメーション映画だった。そう、新海誠監督の『天気の子』だ。

周知の通り、その結末部分が物議を醸している映画『天気の子』。祈るだけで空を晴れるにする能力を持った“晴れ女”である少女は、映画の終盤、人々に壊滅的な被害を与えつつある異常気象に立ち向かい、その身を捧げることによって、“世界/セカイ”を救おうとする。しかし、本作の主人公である少年は、その結末を良しとしない。「天気なんて狂ったままでいいんだ!」。新海誠監督は、自身が書き下ろした小説『天気の子』の「あとがき」で、「映画は学校の教科書ではない」としながら、次のように書いている。「映画は(あるいは広くエンターテインメントは)正しかったり模範的だったりする必要はなく、むしろ教科書では語られないことを──例えば人に知られたら眉をひそめられてしまうような密やかな願いを──語るべきだと、僕は今さらにあらためて思ったのだ。(中略)僕は僕の生の実感を物語にしていくしかないのだ。いささか遅すぎる決心だったかもしれないけれど、『天気の子』はそういう気分のもとで書いた物語だった。」

2019年夏映画 荒井晴彦が描く「火口のふたり」の世界観が凄い!

「僕は僕の生の実感を物語にしていくしかない」──その文章は、ほぼそのままの形で、映画『火口のふたり』の作り手たちと共通するところがあるように思えた。無論、作り手たちの世代の違い(新海監督は73年生まれだ)をはじめ、物語の中心となる男女の年齢や属性、あるいは“鯛のアクアパッツァ”と“豆苗ポテチャーハン”という登場人物たちが作る料理の“格差”、そもそも“性愛”表現の有無など、両者の外枠は、ほとんど対照的と言えるほど、大きく異なっている。しかし、ある種の“正しさ”では決して測ることのできない人間の心理や行動を、一点の迷いもなく描き切っているという点で、両者の共通項は多いように思う。その行動原理が、“世間的な価値観や倫理”に縛られていないこと。彼らが最終的に対峙するものが、人知を超えた“自然災害”であること。さらに言うならば、両者の共通点として、雄弁に物語る“歌”の存在を挙げることもできるだろう。台詞では描き切れないものを表現する手段として、荒井が自身の監督作において全幅の信頼を寄せている下田逸郎の音楽(映画『火口のふたり』では、「早く抱いて」、「この世の夢」、「紅い花咲いた」の3曲が使用されている)。それに対して、『君の名は。』に引き続き、というか『天気の子』では、それ以上に物語の根幹を担う役割を果たしているRADWIMPSの音楽。

それにしても、荒井晴彦と新海誠である。まさか、この2人の新作に、共通するものを感じるとは、夢にも思わなかった。荒井晴彦と言えば、中上健次の小説を原作としたロマンポルノの傑作『赫い髪の女』(監督:神代辰巳、脚本:荒井晴彦/1979年)の時代から、初監督作となった『身も心も』(1997年)に至るまで、一貫して、社会的な規範に縛られない男女の“情愛”を描き続けてきた脚本家/映画監督である。そんな彼のテーマ性の“強度”のようなものが、アニメ界のニュースターとも言える新海誠の新作によって改めて浮き彫りになるとは、一体どういうことなのか。それが2019年のリアル、「人新世(アントロポセン)」を生きる我々に突き付けられたリアルということなのだろうか。

2019年夏映画 荒井晴彦が描く「火口のふたり」の世界観が凄い!

いずれにせよ、映画作りのプロセスにおいてはともかく、映画そのものについて、ある種の“正しさ”を議論することは、あまり有意義なことであるとは思えない。むしろ、これらの男女の物語から、あなたは何を感じ取ったのか。“身体の言い分”という言い方は、どこか無責任な響きを伴うのであまり好きではないけれど、ある種の“正しさ”を振りかざす前に、自らの内なる“心の声”に耳を傾けてみることは、今という時代を生きる我々にとって、何よりも必要とされていることなのではないか。自分ではない誰かが標榜する“正しさ”に、条件反射的な追随をみせる前に、自らの内なる欲望の在処を、きっちりと見据えること。“意見”を表明するのは、それからでも遅くない。否、この2つの映画が奇しくも共通して問い掛けるのは、観る人の“意見”ではなく、何よりもその人自身の“感性”に他ならないのだから。

【みんなの口コミ】映画『火口のふたり』の感想評価評判

ENJOY CINEMA より引用

  • 「火口のふたり」観てきました。
    濃密なからみと日常の生活、5日間の二人だけの世界。
    いろいろ思い出して切なくなる映画。
  • 『火口のふたり』。
    白石一文の小説を映画化。恋人って何だろうと考えさせられる。
    主人公の2人は恐らく恋人同士のつもりはないが、激しく求め合い、
    欲望や理性といった人間の「生と性」の本質を問いかける。
    食べるシーンとセックスシーンが交互に繰り返される構成が印象的。
    昭和っぽさも◎。
  • 『火口のふたり』
    柄本佑さんと瀧内公美さんのダブル主演!
    凄い映画でした‼️全身全霊で演じてる二人、
    瞬きもできぬほどの映画!演じきった二人に感動しました!
    照れのない没頭してる姿が凄い!
  • 「火口のふたり」
    震災がいつ起こるかもしれない世界でどう生きるか。
    すねる直子やダメ男の賢治に苦笑してたが、最後の夜の告白から、
    賢治の今後のささやかな生き方の決意に繋がるのが自然と受け取れる。
    「体の言い分」という監督らしい言葉には、
    そんなに気持ちよい体験ないから分からないと言っておく
  • 『火口のふたり』
    登場人物は柄本佑と瀧口公美のふたりだけ。
    このふたりが全編ヤリまくるだけ。
    なのに、その先に社会が浮かび上がるという、
    スゴい離れ技をやっている映画です。
  • 「火口のふたり」を観てきました。
    二人が食事をしながら普通に(というのもおかしいけれど)
    会話をしているシーンがすごく良くて好きだった。
    抱き合っている時よりも近くて遠いような気がする絶妙な距離感。

荒井晴彦

若松プロダクションの助監督を経て、1977年、日活ロマンポルノ「新宿乱れ街 いくまで待って」で脚本家デビュー。以降、数多くのロマンポルノの名作で脚本を執筆する。「赫い髪の女」(79)、「遠雷」(81)、「Wの悲劇」(84)、「ひとひらの雪」(85)、「大鹿村騒動記」(11)で日本アカデミー賞優秀脚本賞を4度受賞するなど、日本を代表する脚本家として活躍。その他、近年の脚本作品には「ヴァイブレータ」(03)、「やわらかい生活」(05)、「共喰い」(13)、「海を感じる時」(14)、「さよなら歌舞伎町」(15)、「幼な子われらに生まれ」(17)など。「身も心も」(97)で監督デビューを果たし、「この国の空」(15)と「火口のふたり」(19)でも自身の脚本でメガホンをとった。季刊誌「映画芸術」の編集・発行人も務めている。

荒井晴彦 脚本・監督作品

作品紹介文は映画.COMより引用

この国の空


2019年夏映画 荒井晴彦が描く「火口のふたり」の世界観が凄い!


「さよなら歌舞伎町」「海を感じる時」「共喰い」などの脚本を手がけたベテラン脚本家・荒井晴彦の18年ぶりにメガホンをとった監督作。谷崎潤一郎賞を受賞した高井有一による同名小説を原作に、戦時下を生きる男女の許されない恋を、二階堂ふみと長谷川博己の主演で描いた。終戦も近い昭和20年。東京・杉並の住宅に母と暮らす19歳の里子は、度重なる空襲におびえながらも、健気に生活していた。隣家には妻子を疎開させた銀行支店長の市毛が暮らしており、里子は彼の身の回りの世話をしている。日に日に戦況が悪化し、自分は男性と結ばれることのないまま死ぬのだろうかという不安を覚えた里子は、次第に女として目覚めていくが……。

2015年製作/130分/G/日本

2020年2月17日 23:59まで配信© 2015「この国の空」制作委員会

Wの悲劇


2019年夏映画 荒井晴彦が描く「火口のふたり」の世界観が凄い!


劇団「海」の研究生・三田静香は、女優としての幅を広げるため、先輩の五代淳と一晩過ごした。翌朝彼女は、不動産屋に勤める森口昭夫という青年と知り合う。「海」の次回作公演が、本格的なミステリーに加え、女性であるがゆえの悲劇を描いた『Wの悲劇』と決定した。キャストに、羽鳥翔、五代淳と劇団の二枚看板を揃え、演出は鬼才で知られる安部幸雄である。そして、事件全体の鍵を握る女子大生・和辻摩子役は、劇団の研究生の中からオーディションによって選ぶことになった。オーディション当日、静香の親友・宮下君子は、芝居の最中に流産しかかり病院にかつぎ込まれた。子供を産むと決心した彼女を見て、静香は自分の生き方は違うと思う。摩子役は、菊地かおりに決定した。静香には、セリフが一言しかない女中役と、プロンプターの役割が与えられた。意気消沈して帰宅した彼女のもとに花束を抱えて昭夫がやって来た。静香がオーディションに受かるものと信じて祝福に来たのだ。彼の楽観さにヒステリーを起こす静香だったが、結局、二人は飲みに行き、その晩、静香は昭夫の部屋に泊まった。翌朝から、彼女は気分を切り変え、全員の台詞を頭に入れ、かおりの稽古を手伝うなど積極的に動く。一方、昭夫は静香に結婚を申し込むが、静香は女優への夢を捨てる気になれなかった。大阪公演の初日の幕があがった。舞台がはねた後、一人舞台に立つ静香を見た翔は、声をかけ小遣いを渡す。彼女にも静香と同じ時期があったのだ。その夜、お礼に翔の部屋を訪ねた静香は、ショッキングな事件に巻きこまれる。翔の十数年来のパトロン・堂原良造が、彼女の部屋で突然死んでしまったというのである。このスキャンダルで自分の女優生命も終わりかと絶望的になっていた翔は、静香に自分の身代りになってくれ、もし引き受けてくれたら摩子の役をあげると言い出す。最初は首を横に振っていた静香だったが、「舞台に立ちたくないの!」という一言で、引き受けてしまった。執拗なマスコミの追求も、静香はパトロンを失った劇団研究生という役を演じて乗り切った。翔は、かおりとの芝居の呼吸が合わない、と強引に彼女を降ろし、東京公演から静香に摩子役を与えた。静香の前に、事件のことを知った昭夫が現われた。「説明しろ」と詰めよる彼に静香は一言もなかった。東京公演。舞台袖で震えていた静香に、翔の叱咤が飛ぶ。静香の初舞台は、大成功をおさめた。幕が降りた後も鳴りやまぬ拍手と、何度も繰り返されるカーテン・コールが女優誕生を祝していた。客席の最後列では、精一杯拍手を送る昭夫の姿もあった。劇場を出た静香は、レポーターに囲まれるが、昭夫の姿を見つけ駆けよろうとする。そこに、事件の真相を知ったかおりがナイフを手に現われ、静香めがけて飛びこんできた。静香をかばい刺された昭夫は、救急車で運ばれた。数日後、引越しをするためアパートを出た静香は、昭夫に連れられてきた空家に立ち寄る。そこには昭夫がいた。もう一度二人でやり直そうという彼に、静香は、そうしたいけど今のボロボロの私よりもっと駄目になってしまうと言う。そして、芝居を続け、ちゃんと自分の人生を生きていくために一人でやり直すからと、涙をこぼしながら微笑んで去って行った。

1984年製作/108分/日本原題:The Tragedy of “W”
配給:東映

2020年3月27日 23:59まで配信©1984KADOKAWA

海を感じる時


2019年夏映画 荒井晴彦が描く「火口のふたり」の世界観が凄い!


作家の中沢けいが1978年に発表し、当時18歳で第21回群像新人賞を受賞した文壇デビュー作を、市川由依の主演で映画化。原作は発表当時、現役女子高生が書いたスキャンダラスな作品として話題を呼んだ作品で、愛を知らない少女がひとりの男と出会い、女へと目覚めていく姿を描いた。ある日、授業をさぼり新聞部の部室で暇つぶしをしていた女子高生の恵美子は、3年生の先輩・洋から突然キスを迫られる。洋は「ただ女の人の体に興味があっただけ」と言い放ち、相手は誰でもよかったというが、父親を亡くし、厳格な母に育てられて愛を知らずにいた恵美子は、それでも洋を求め、何度も体を重ねる。やがて洋は進学のため上京し、恵美子もその後を追って東京の花屋に就職するが……。「blue」「僕は妹に恋をする」など繊細な作品で知られる安藤尋が監督、脚本は「戦争と一人の女」「大島村騒動記」の荒井晴彦。

2014年製作/118分/R15+/日本配給:ファントム・フィルム

2020年5月2日 23:59まで配信R15+©2014「海を感じる時」製作委員会

さよなら歌舞伎町


2019年夏映画 荒井晴彦が描く「火口のふたり」の世界観が凄い!

話題作に引く手あまたの染谷将太と、「もらとりあむタマ子」が高い評価を受けた前田敦子が初共演したオリジナル作品。廣木隆一監督がメガホンをとり、脚本を廣木監督の「ヴァイブレータ」「やわらかい生活」も手がけたベテラン脚本家の荒井晴彦と、「戦争と一人の女」の中野太が担当。自らを一流ホテルマンだと偽る、しがないラブホテル店長の徹と、ミュージシャンを目指す沙耶のカップルを中心に、新宿歌舞伎町のラブホテルに集う5組の男女の人生が交錯する1日を描いた群像劇。イ・ウヌ、忍成修吾、大森南朋、田口トモロヲ、村上淳、松重豊、南果歩ら、いずれも実力派の俳優たちが共演している。

2014年製作/135分/R15+/日本 配給:東京テアトル

2019年9月20日 23:59まで配信R15+ ©2014『さよなら歌舞伎町』製作委員会

時代屋の女房


2019年夏映画 荒井晴彦が描く「火口のふたり」の世界観が凄い!

東京の大井で、三十五歳でまだ独り者の安さんと呼ばれている男が「時代屋」という骨董屋を営んでいる。夏のある日、野良猫をかかえ、銀色の日傘をさした、真弓という、なかなかいい女がやって来ると、そのまま店に居ついてしまう。この店は、品物じゃなくて時代を売るから時代屋というので、安物ばかりだが、思い出と歴史の滲み込んだ、古くさいミシンや扇風機が並べられている。一緒に暮すようになっても、安さんは、真弓がどういう過去を持っているか訊こうともしない。そんな真弓がひょいと家を出ていくと、暫く戻ってこない。喫茶店サンライズの独りもんのマスターやクリニーング屋の今井さん夫婦、飲み屋とん吉の夫婦などが親身になって心配していると、真弓は何事もなかったかのように帰って来る。闇屋育ちのマスターは、カレーライス屋、洋品店、レコード屋などをやったあげく、今の店を開き、別れた女房と年頃の娘に毎月仕送りをしながらも、店の女の子に次次と手をつけ、今はユキちゃんとデキているが、その彼女は、同じ店のバーテン、渡辺と愛し合っている。今井さんの奥さんが売りにきた古いトランクから昭和十一年二月二十六日の日付の上野-東京間の古切符が出てきた。四十七年前、ニキビ面だった今井さんが近所の人妻と駆け落ちしようとして連れ戻され、使わなかった切符で、青春の思い出を蘇らせる今井さん。真弓がいない間に、安さんは、どこか真弓に似ている美郷という女と知り合い、関係を結ぶ。東京の孤独で華やいだ暮しを畳んで、彼女は東北の郷里に戻って結婚しようとしており、その寂しさの中で、安さんと出会ったのだ。マスターは遊びが過ぎて店を閉める羽目となり、ユキちゃんと渡辺クンに店を引き取ってもらい、小樽の旧い友人を訪ねて旅に出ることにする。安さんも、岩手でのぞきからくりの売り物があると聞き、一緒に車で旅に出る。道中、しみじみと人と人との絆や傷について考える安さん。そんなことを考えていた安さんが店に戻った翌日、真弓が初めて現れたときと同じように、冬にもかかわらず日傘をさして帰ってきた。ペコリと頭を下げる真弓だが、もちろん安さんは何も言わず訊かない。

1983年製作/97分/日本 原題:Time and Tide 配給:松竹

2020年3月31日 23:59まで配信©1983 松竹株式会社



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