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ふるさと納税とは、ふるさとや応援したい自治体に寄附ができる制度のことです。手続きをすると、所得税や住民税の還付・控除が受けられます。多くの自治体では地域の名産品などのお礼の品も用意! 寄附金の「使い道」が指定でき、お礼の品もいただける魅力的な仕組みです。その返礼品の競争が問題になっていたりしますよね。

「ふるさと納税」の行き過ぎた返礼品競争…納税者の意識の見直しも迫られている

Wezzy2019.01.23配信記事より引用

2008年にスタートした「ふるさと納税」は、“納税”と銘打たれているものの、厳密にいえば寄付金制度だ。また、“ふるさと”と言えど、出生地に関わらずどの自治体にも自由に寄付することが可能。さらに、寄付額に応じて住民税などの控除が受けられるといったメリットもあり、「ふるさと納税」が急速に普及していることは周知の通りである。

しかし、「ふるさと納税」の人気を集めるほど税収が増えることから、一部の自治体の間ではなかば“返礼品競争”のような様相を呈し、問題となっている。たとえば、静岡県小山町は返礼品として、寄付額の4割にも当たるAmazonジャパンのギフト券を設定。申し込みが殺到し、平成30年の受入額は約249億円に達したという。

しかし、小山町の行き過ぎた「ふるさと納税」制度には批判も噴出した。1月11日には、石田真敏総務相が「法制度のすきまをとらまえた行動であり、およそ良識があると思えない」と発言するに至っている。小山町はこれまでも、総務省から“節度ある対応”を求められていたという。

ふるさと納税の広がりによって、割を食う自治体も増えている。たとえば東京都の町田市は、2017年度の「ふるさと納税」の影響で約4億円の税収赤字だった。要するに、町田市民が積極的に「ふるさと納税」を行ったことで、多くの税金が控除されたのに対して、町田市への寄付額が伸びなかったことにより、差し引き約4億円ものマイナスになってしまったのだ。「ふるさと納税」制度による税収減にあえぐのは、目立った特産品のない都市部の自治体に多いようだ。

「ふるさと納税」自体は、各自治体の努力が報われる重要な制度

そもそもは、生まれ育ったふるさとへ恩返しをするための方法として作られたという「ふるさと納税」制度。やはり地方自治体にとっては、恩恵が多いものなのだろうか。

「それまで地方の税制は、努力をしても報われない仕組みになっていました。地方自治体の財源不足を補うために、総務省が分配を決めて配分する『地方交付税交付金』というものがあるのですが、この資金に依存している自治体が非常に多かったのです。もともと『地方交付税交付金』は自治体ごとの格差をなくすために、赤字分を補填するという目的の資金だったため、頑張って税収を増やすと、むしろ『地方交付税交付金』は減らされてしまうのです。

 そこに『ふるさと納税』という制度が登場したことで、自治体としては、努力をすればその分税金が増えるという道ができたといえるでしょう。ですから、努力をしていろいろ工夫を凝らしている自治体は、大きな恩恵を受けられるという仕組みになったわけです」(磯山氏、以下同)

一方で、都市部の自治体のなかには、「ふるさと納税」によって税収が減ってしまったところも多く、怒りの声も上がっているが……。

 「私は前提として、この『ふるさと納税』という制度自体は、非常に重要かつ有効な制度だと考えています。もともと、人口が集中する都市部に吸い上げられた税金を、なるべく地方に分配しようというのが『ふるさと納税』の趣旨です。地方が頑張れば頑張るだけ、都市部の自治体が損をしてしまうというのは、制度上は仕方がないことでしょう。

 また、『ふるさと納税』の場合は、都市部の自治体でも工夫次第で税収を増やすことができるわけです。東京都の区の中にも、流出を止めようと努力しているところ、あるいは、他の自治体から『ふるさと納税』を集めようという努力をしているところもあります」

ただし、その “努力”をやりすぎてしまう自治体が散見され、制度自体を見直す動きも出ている現状がある。

「今、批判されているのは、頑張り方を間違えてしまった、一部の地方自治体の暴走です。地域の特産品ではないものを返礼品にしたり、過剰に豪華なものにしたりして税金を集めようとするというような、行き過ぎた“努力”をする自治体に、巨額の税金が集まるようになってしまいました」

冒頭の静岡県小山町のように、Amazonギフト券や家電製品を返礼品とする自治体や、地産のものではない大量の牛肉や豚肉を返礼品とする自治体も多く、問題視されていることは事実だ。

「たとえば、非常に豪華な返礼品を提供していた大阪府の泉佐野市には、100億円を超える『ふるさと納税』が集まることになってしまった。これに対して、周辺の自治体や、税金が流出している都市部の自治体からは批判が出てくるようになりました。そこで、2019年6月から、『ふるさと納税』の制度が見直されることになったわけです」

納税者にも「ふるさと納税」に対する意識の見直しが求められる

税制改正大綱に明記された新たな仕組みによれば、「ふるさと納税」の返礼品は、「価格を寄付額の3割以下とすること」「地場産品とすること」が条件となり、基準を守らない自治体は指定自治体から外され、寄付額が集まっても税優遇を受けられなくなるという。しかし、こうした動きに対して、磯山氏はあえて警鐘を鳴らす。

「総務省が一律にルールを決めて、返礼品は『3割以下』『地場産品』とするのも、ひとつの改善策としては理解できます。しかし、どうやって3割を計算するのか、地場産品の定義は何なのかといった、細かい議論になってしまう可能性もあるわけです。ですから、上からルールで押し付けるのではなく、それぞれの地域が『ふるさと納税』の実情を、自身でしっかりと説明していくことが必要なのではないでしょうか」

磯山氏は、寄付金の使い道や効果を、自治体自身が“見える化”していくことこそが重要だと説く。また、そうして実情の明らかになった自治体を、納税者が意識的に選んでいく必要もあるという。

「お肉やお米、魚介類といったものは非常に人気があって、これらを返礼品に用意する自治体には、多くの寄付が集まる傾向にあります。もちろん、その地域の特産品をもらうのであれば、地場産業を育てることにもつながるので、一概に悪いとは言えません。しかし、返礼品を目当てとするだけではなく、自分が寄付したお金を有効に使ってくれて、自分の税金が役に立つような自治体を“応援しよう”という視点で、『ふるさと納税』先として選ぶ。このように変わっていくことが、大切なのではないでしょうか。

 とくに近年は自然災害が多いため、さまざまな災害に見舞われてしまった自治体に『ふるさと納税』をしても、お得な返礼品をもらえないというケースは少なくありません。しかし、『ふるさと納税』をして、自分の税金の一部をその自治体に渡すということは、有効な支援手段になるのです」

最後に、「ふるさと納税」は現在の日本社会において、有効に機能しているといえるのかについてズバリ聞いてみた。

「『ふるさと納税』制度ができる前の地方自治体は、中央から付けてもらえる予算を待つだけで、上を向いて口を開けているような状態でした。しかし、『ふるさと納税』によって、自分たちの創意工夫次第で、自治体を応援してくれる人を全国から集められるというようにムードが大きく変わり、地方自治体のやる気を引き出した大きなきっかけとなったことは事実です。『ふるさと納税』は、正しく行われれば、非常に有効な制度と言えましょう」

都市部にとっては、現状あまり嬉しくない制度かもしれない「ふるさと納税」。しかし、スタートした趣旨から考えれば、これも致し方ないことなのかもしれない。とはいえ、行き過ぎた返礼品競争と、寄付が一部自治体へ過剰に集まってしまうという歪な現状を変えるためには、各自治体の「ふるさと納税」担当者と納税者自身の意識改革が必要といえるだろう。

「ふるさと納税」の行き過ぎた返礼品競争早稲田大学卒業後、日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社・独立。著書に『国際会計基準戦争・完結編』『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP社)、『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)などがある。 オフィシャルサイト http://isoyamatomoyuki.com/

(文・取材=後藤拓也[A4studio])

「ふるさと納税」の行き過ぎた返礼品競争
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