鬼平の言葉 鬼平犯科帳第二巻「蛇の目」(くちなわのめ)より
痺れる名台詞、寸鉄人を刺す格言、心を打つ人生訓。2700万部のベストセラー時代小説から名言・金言を総ざらい!池波正太郎 鬼平の言葉 現代(いま)を生き抜くための100名言。鬼平犯科帳第五巻「蛇の目」(くちなわのめ)より
仕事の鬼になれ
鬼平犯科帳第二巻「蛇の目」(くちなわのめ)より
むかしのおれがことをいいたてるというのか
あは、はは……
バカも休み休み言え。
悪を知らぬものが悪をとりしまれるか
若いころ、無頼の日々を送った平蔵は悪党を知り抜いている。だからこそ、次々と悪党をとお縄にできるのだ。平蔵は「煮ても焼いても食えないやつ」は容赦なく斬り捨てる。恐れをなして、江戸から逃げ出す盗賊が跡を絶たない。上役たちは平蔵の荒々しい措置を「かつて悪事を働いていたものが、悪を裁くのはいかがなものか」と非難する。しかし平蔵はびくともしない。「一の悪のために十の善がほろびることは見のがせぬ」と突っぱねる。いつでも”腹を切る”覚悟で臨んでいるからだ。無理解な上役から指弾されても、熱意と覚悟を持って立ち向かえば道は開ける。”腹を切る=責任を取る”覚悟はなければ、大きな仕事がなぜないのである。
本当の強さとは何か
どんな豪傑でも、その時の気分ひとつ、躰の調子ひとつで、ふるえがくるものさ
兇賊「蛇の平十郎」は平蔵を始末するために三度も暗殺を謀るが、いずれも失敗に終わる。”急ぎばたらき”も失敗し、平蔵に捕縛され火あぶりの刑になった。豪胆な平十郎も火の中では泣きわめいたと言う。死の恐怖が意気地をはぎ取った。瀬戸際にこそ、人の本性が現れるものだ。
盗賊たちの矜持
なあに、盗賊改メがこわくてお盗めがなるものか
兇賊「蛇の平十郎」は執拗に平蔵の暗殺を謀るが、いずれも失敗に終わる。平蔵に恐れをなして、姿を消す手下は十余人に及んだ。平十郎にも盗賊の維持がある。平十郎は元将軍侍医・千賀道有の屋敷に落ち込むが、金蔵は空っぽ。道有の孫・道栄が全財産をご公儀に奉納したあとだった。平蔵に睨まれたとき、平十郎の運はとっくに尽きていたのだ。
鬼平犯科帳第1シリーズ
五十海の権平(山本 弘)をはじめ、名うての盗っ人たちが平蔵(中村吉右衛門)の手にかかっていた。捕縛をまぬがれた盗賊たちは恐れおののき、江戸を去る者があとを絶たなかった。ある日、平蔵と木村忠吾(尾美としのり)は、そば屋でひとりの男に出会う。物腰は柔らかいが、平蔵をうかがうその目には鋭い憎悪が見てとれた。男の名は蛇(くちなわ)の平十郎(石橋蓮司)。名前の通りの執念深い男で、その手口は水際立っており、大口の盗みばたらきを続けていた。一年、二年とかけて盗みを企てている間、組む相手や手下にさえ顔を見せようとしない抜け目のない大盗っ人であった。平十郎が次に狙うのは、将軍家に取り入り御典医にまで成り上がった千賀道有(福中勢至郎)の屋敷。その金蔵から一万両を盗み、江戸で大仕事をやってのけることで、平蔵たちの顔に泥を塗る魂胆だった。平十郎の企みが自分への挑戦だと悟った平蔵は、慎重に調べを進めていく。
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