「今までとは意味が違う」北朝鮮の“新型ミサイル” 脅威の理由

「新型の弾道ミサイルの可能性がある」

14日未明、北朝鮮が日本海に向けて発射したミサイルについて、稲田朋美防衛相は、そう語った。北朝鮮による弾道ミサイル発射は、今年7回目となるが、政府関係者は「今回は、今までとは意味が全く異なる」と語る。

bd0d2fb4e902671c770ff9232e2eb89c - 事実を知っておきたい(北朝鮮ロケット情報)

会見する稲田防衛相 ©共同通信社

「第一にタイミングです。発射当日は、中国の習近平国家主席が音頭をとった経済圏構想『一帯一路』に関する初の国際会議の開幕日。習主席のメンツを完全に潰した。国際社会では長らく“中国は裏で北朝鮮と握っているのでは”と囁かれていましたが、これで完全に決裂した」(同前)

さらに韓国では、10日に対北対話路線をとる文在寅大統領が就任したばかりだった。

「文大統領は、発射を受けても『対話の可能性は開いてはいる』と語りましたが、いきなり出鼻を挫かれた格好です」(全国紙ソウル特派員)

だが前出の政府関係者が注目するのは、ミサイルそのものの性能だという。今回のミサイルはロフテッド軌道という通常より高高度に打ち上げられ、高度2000キロに達し、約30分間飛行した。

「ロフテッド軌道だと落下速度が速く、迎撃が難しくなります。日米韓の情報筋の分析によると、射程距離は約4000から5000キロでグアムが射程に入る。だが、それより重大なのは固体燃料が使われた可能性がある点です」(前出・政府関係者)

どういうことか。

「固体燃料は液体燃料に比べて、輸送が容易で、かつ注入に時間がかからないメリットがある一方で、爆発力は劣ると見られていた。もし固体燃料で、あそこまで飛ばす技術があるとすると、事態は深刻で、アメリカの政府関係者も衝撃をもって受け止めています」(同前)

固体燃料を積んだミサイルを偽装コンテナ船で、ワシントンを射程に捉える場所まで運べば、新たな脅威となる。アメリカはどう出るのか。

「北朝鮮はミサイル発射で何とかアメリカを交渉の場に引っ張り出したいのでしょうが、トランプ政権は北朝鮮が越えてはいけない“レッドライン”を、米国本土への攻撃が可能な武力の保持と定めている。今回の一件はこれを越えた可能性がある」(同前)

米朝対立は最終局面に入りつつある。

(「週刊文春」編集部)

北朝鮮攻撃すれば「信じられない悲劇に」 米国防長官

米NBCテレビは19日、複数の米国防当局者の話として、北朝鮮が14日に発射した新型ミサイル「火星(ファソン)12」に関して、弾頭が宇宙空間から大気圏に再突入する際に燃え尽きなかったと報じた。再突入が成功したとの見方を示したもので、北朝鮮が目指す米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実戦配備に近づいたことを意味する。

マティス米国防長官は19日の記者会見で、事実関係の確認を避けつつも「極めて高い高度まで上がってから落下しており、北朝鮮は多くを学んだようだ」と語った。

弾道ミサイルには、大気圏再突入の際、高熱や衝撃から核弾頭を保護する技術が必要となる。北朝鮮は昨年3月、大気圏再突入の実験に成功したと発表したが、韓国や米国は認めていなかった。米側は、北朝鮮によるICBM技術の進歩にさらに警戒を強めることになりそうだ。

一方、マティス氏は会見で、北朝鮮の核・ミサイル問題を解決する手段としての軍事行動について「信じられない規模での悲劇が起きる」と指摘した。米軍が北朝鮮の関連施設を先制攻撃した場合、反撃によって同盟国の日本や韓国などへの被害が出ることを念頭に発言したものとみられる。

トランプ政権は「すべての選択肢がテーブルの上にある」として、軍事行動も辞さない構えで北朝鮮に圧力をかけてきた。マティス氏の発言は、軍事行動という選択肢に消極的な立場を示したものだ。マティス氏はまた、日韓や中国などとの協力で、外交的な解決を目指す考えを示した。(ワシントン=峯村健司)

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