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少し古めの記事ではありますが

週刊女性PRIME 10/27(木) 07:30

「私も、埼京線で痴漢にあったことがあります」

某出版社で編集者2名と企画について話していたときのこと。“埼京線の痴漢”が企画の候補に浮上するや、若い女性編集者が乗り出してきた。

「埼京線はヤバいです、知り合いも痴漢にあっています」

聞けば、かつて埼京線で通勤をしていて、痴漢にあったのは1回だけではないとのこと。

そう話す彼女は、図書館が似合いそうな“文系女子”で、派手さのない女性である。露出の高い服は着ないだろうが、その大人しい雰囲気が狙われるのかもしれない。痴漢とは、泣き寝入りしそうな女性につけ入る、とても卑劣な犯罪である。

それにしても、「埼京線は痴漢が多い」というのは、よく聞く話である。

路線別の痴漢摘発件数ランキング(都内)

それを裏付けるデータもある。警視庁が2004年と2010年に公表した路線別の痴漢摘発件数によれば、埼京線はワースト1位(2004年)、ワースト2位(2010年)である。

2010年はワースト1位を免れているが、これには理由がある。埼京線の客室内に防犯カメラが設置されて、痴漢件数が激減したのだ。「防犯カメラを設置した」という報道が、犯罪を抑止したのだろう。

ちなみに、2010年以降のデータは公表されておらず、その効果が持続しているかは不明である。うがった見方をすれば、都合の良いデータの2010年は公表して、その後は数値が悪くて公表しないのかもしれない。

あるいは、埼京線が「痴漢の多い路線」として知られたことで、余計に痴漢被害を招いてしまい、公表を取りやめたという可能性もある。

そう思わせる事件が、2014年11月17日に起きている。平塚市教育委員会の職員の男が、「埼京線なら痴漢できると思った」と、わざわざ痴漢をするために埼京線まで来たのだ。

この事件が衝撃を与えたのは、犯人が教育に携わる人間だったことと、犯行が卑劣で、迷惑防止条例ではなく、強制わいせつ罪が適用されたことだ(私自身、ここに事件の様子を描くのはためらう)。こういう事件が起きては、路線別の痴漢件数は公表できないだろう。

それにしても、なぜ埼京線に痴漢が多いのか。

埼京線に痴漢が多い理由は?

間違いなく言えるのは“混雑”である。警視庁のホームページでも、「痴漢の被害を防ぐために」として、「混んでいる電車、乗車場所には要注意」と最初に挙げている。

埼京線も混雑する路線で、「板橋→池袋」の朝の混雑率は183%(国土交通省による2015年度データ、以下同)である。首都圏には190%を超える路線もあるので、それに比べれば穏やかに見えるが、埼京線は車両による偏りが大きく、大宮寄りの車両ほど混雑が激しくなるのだ。

新宿も、渋谷も、埼京線のホームは離れたところにあり、どちらも改札は大宮寄りにある。JR東日本が防犯カメラを設置した場所も、大宮寄りの車両(1号車)で、しかも乗務員室側(大宮寄り)の半分だけ。混雑がもっとも激しい場所である。JR東日本によれば、この場所で「痴漢被害が頻発している」という。

つまり、埼京線の痴漢対策としては、なるべく空いている大崎寄りの車両を選ぶことだ。ちなみに、埼京線の女性専用車両は、一番大崎寄りの10号車である。

“駅間の長さ”は痴漢被害の原因なのか

「埼京線で痴漢被害が多い」理由として、「駅と駅の間が長い」ためと解説する人も多い。たしかに、密閉した状態が長く続けば、それだけ痴漢被害も増えそうである。

実際、埼京線の駅間距離は長い。都心部の赤羽~大崎では、駅間距離が平均2.7キロもある。山手線の駅間距離が平均1.2キロなので、その2倍以上だ。埼京線と同様に痴漢被害が多い中央線も、東京~中野(中央線快速線)の駅間距離は平均2.9キロにもなる。

しかし、この話はおかしい。

駅間距離が短い山手線も、「痴漢被害の多い路線」にランクインしているし、横須賀線は、埼京線や中央線よりも駅間距離が長く、混雑率も193%(武蔵小杉→西大井)と高いが、ランクインしないのだ。

駅間距離と痴漢被害には、相関関係が見いだせない。

一方で、混雑する路線のすべてがランクインするわけではないが、ランクインする路線には、激しく混雑する箇所が必ずある。

上野東京ラインの開業で山手線の混雑は大幅に改善したが、それ以前は、「上野→御徒町」の混雑率が200%前後で、都内でも最悪の混雑区間だった。京王線や西武線は、混雑率は比較的低いのだが、各停が数字を押し下げているだけで、特急や急行では猛烈な混雑となる。

“混雑”は痴漢被害を招く最大の要因だが、それは統計上の話で、思わぬところでも事件は起きている。

2016年10月7日、尼崎駅のホームで電車待ちをしていた女性が、警察官の男に尻を触られるという痴漢事件が起きた。この男は、別の痴漢事件で容疑者として浮かび上がり、捜査員に目をつけられていたようだ。

警察官がホーム上で痴漢をするようでは、完全な痴漢対策などありえない。

それでも、混雑は避ければ、痴漢被害に遭う確率は確実に下がる。心許ないのは承知だが、これが冒頭の女性編集者に捧げるアドバイスである。


文)佐藤充(さとう・みつる):大手鉄道会社の元社員。現在は、ビジネスマンとして鉄道を利用する立場である。鉄道ライターとして幅広く活動しており、著書に『鉄道業界のウラ話』『鉄道の裏面史』がある。また、自身のサイト『鉄道業界の舞台裏』も運営している。


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